| 5年程前かな、美の一周年記念イベントの前日 スナフキンと美(船)はテーマ漁 港に係留されていた。豚汁係りの僕は荷物も下ろしやすいスナフキンに豚肉を積み 台風の余波が収まらぬ中、嘉陽に向け出港した。アブオール沖で波高4Mはあるか な?大きくうねり来る波の山を斜めに登っては下りる、日除けのカバーが風を受 け、まるでシーソーの真ん中に立つように交互に足を踏ん張っていた。たまにくる大波 に少し構えるが 33フィートに10馬力のスナフキンはのらりくらり波に揺られ嘉 陽のヌーファ浜に着いた。浜辺でも1M程の波があり 4分のアンカーロープが頼り ないほど細く見える。やがて波も収まるだろう、楠ちゃんの作ってくれた夕食をすま せさあやるか、、、。豚汁のあくを取ったらもう12時だ、いつものように浜で寝 ようとしたら安奈が先に寝ていた、おやすみ。うとうとして朝、波が大きく なってる、アンカーは持つんだろうか、昨日より荒れてる。泳いでスナフキンに乗りエ ンジンをかける、押し寄せる波が強く一人では係船ロープが外せない、今日のイベン トは中止だな。センター小屋に戻ると社長からのTEL,直ぐに火を止め豚汁を嘉陽に もってこいってか? 波打ち際で1.5M程ある波にどんなして乗せようか? ぎんみ の末四つの容器に分け入れて乗せたが砂浜にとものついたスナフキンを出すのにもう へとへとだ、やっとの思いで出したのにロープがペラに絡んで外れない、大波に安奈 が浜に押し戻される 楠もマサルも必死で船を支えるがもうこれ以上は危険だ。三人 がロープを離せば船は、、、。「アンナー船に乗れ、くすーマサルー泳いで来い」 三人が乗り僕はペラに絡んだロープを切った。スナフキンは浜に押し戻されていく、 絡んだロープが外れ前進全開 スナフキンはやっと浜から離れた。外海は嵐の海、 リーフの口から2M程の波が来る、あれを横に受けたらやばいな、シガイと呼ばれる嘉 陽に向かう狭い水路は波の荒場だが、、、他に道はない、左から大波が来る マサル がそれを見ていない、「波から目を離すなー」と叫びながら船首を波に向けた、大波 に揺れ跳ね上がる瞬間構えていなければ投げ出されてしまうのだ。船足が遅い上 重 心が高く 重いこの船は横揺れに弱い、立て直す前に次の大波がくる、船を嘉陽に向 けるどころではない。この大波をやり過ごして行くにはスナフキンが転ばない程度斜 めの波に向け続けるしかないがこのまま行くとリーフにぶつかる、右舷側でシガイの 岩が激しい水しぶきをあげてる、皆引きつってるが僕だってこわいのだ、スナフキン が転ばないUターンできる波を探さなければ、待つしかない、しかし続けざまに来る 大波にUターン出来る波はない、体勢を維持するのに精一杯だ。リーフは迫る、他の 方法は、、、この風と波ではバックしても舵はきかない、シーアンカーは持ってな い、ぐちゃぐちゃに白波立つリーフは迫る、シーアンカーに代わるものを準備するしか ないか、立つことさえ危険だが、あれ、、、あれれ、どうなってるんだ。スナフキン はリーフに向いてるがリーフには進んでいない、風と波に押し戻されながらイノーの 真ん中を真っ直ぐ嘉陽に流されてる僕たちは誰かに守られている。変な感覚だ、素足 はキャビンを踏ん張ってるが小刻みに震えていてスロットルレバーを押す手は固まっ てるけど、みょうに冷静な自分がいる。頭と体が別々の思考で動いてるみたい。いく つもの波をやり過ごしシッタまで来たら波も収まってスナフキンも舵も思う通り動い てる。豚汁を押さえてた楠チャンはマブイ(魂)を落とした顔つきだ、「アンナー携 帯貸してくれー」水没したってか、しょうがないなー、豚汁も皆もスナフキンも無事 だったから良しとするか、嘉陽に着きほっとため息を一つ。こんな思い出が何度も あった気がする、僕たちは南の島のスナフキンさ。 |